「ANAだと思って乗ったのに」わずか2年で消えた新ブランドの教訓――LCC再編とブランド戦略の課題とは
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2024年に運航を始めたエアージャパンがわずか2年で終了した背景を軸に、機材調達の難しさやブランド設計の課題、LCCとフルサービスの境目が薄れる世界的な流れ、さらに航空業界の次の競争軸が機材開発へ移りつつある現状を、国内外の事例とともに追う。ユナイテッド航空CEOの発言やサウスウエスト航空の変化、ZIPAIRや新興機体メーカーの動きも交え、業界転換の全体像を描く。
LCCモデルの転換局面

世界各地でLCCの形が変わりつつあるなか、米国の大手航空会社ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者は、
「LCCのビジネスモデルは終わった」
との趣旨の発言を残している。この発言は、2025年に2度の経営破綻を経験した米国LCCのスピリット航空に向けられたものだが、LCCは安さだけでは続かないという現実がはっきりしてきたことを示している。実際にLCC各社では、
・上位座席の導入
・ポイント制度の導入
・機内での映像サービスの充実
・標準で機内食を出す動き
などが広がっている。ZIPAIRでは、親会社のJALですらまだ本格導入していない高速通信サービス「Starlink」の導入を決めている。一方でフルサービスの航空会社側も、変化を進めている。アルコールの有料化や座席指定の有料化、ネット上での割引販売など、LCCに近い仕組みを取り入れる例が増えている。こうした状況では、
・LCCは安いがサービスは簡素
・フルサービスは手厚いが料金は高い
といったわかれ方だけで利用者を引きつけることは難しくなっている。
LCCとフルサービスの境目が薄れるなかで、各社はどのような内容で利用者を集めるか、どの地域に路線を張るか、どのように利用を広げるかといった点で、航空会社ごとの工夫がより強く問われている。