奄美群島に「幻の航空会社」が存在した? 2013年に生まれた低運賃の熱気、1500人が関わった計画はなぜ空へ届かなかったのか

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奄美群島では2016年、地方創生型LCC「エア奄美」構想が動き出した。低運賃と群島内外の航空網拡大を掲げたが、資金難で2018年に解散。運賃格差や島間移動の課題は今も残る。

離島交通をめぐる航空構想の挫折

飛行機のイメージ(画像:写真AC)
飛行機のイメージ(画像:写真AC)

 鹿児島県南部、沖縄と九州の間に位置する奄美群島――。

 アマミノクロウサギに代表される固有の生き物が生息し、珊瑚礁が広がる海やマングローブ林など、豊かな自然環境を持つ島々として知られている。

 大島紬や黒糖焼酎、鶏飯といった奄美特有の文化も根付いており、観光地としても多くの人を引きつけてきた。

 こうした奄美群島を拠点にしようとする航空会社の計画がかつて存在したことは、あまり知られていない。

 本稿では、地域の期待を背負いながらも資金面の壁を越えられず、実現に至らなかった「エア奄美」について解説する。

離島航空と地域振興の一体構想

 エア奄美は2016(平成28)年5月20日に設立され、徳之島の天城町に拠点を置く航空会社であった。

 同社は奄美群島を基盤とし、ATRやボンバルディアなどの双発ターボプロップ機を導入する計画だった。運航網としては、群島内の奄美大島、徳之島、沖永良部島を結ぶほか、鹿児島、沖縄、関西方面への路線も想定していた。

 拠点空港は鹿児島空港、奄美空港、徳之島空港の三つを中心に置く構想であった。

 また同社は、地域間輸送を担う航空会社にとどまらず、

「地方創生型格安航空会社(LCC)」

として、大手よりも低い運賃での運航を目指していた点に特徴がある。就航に際しては旅客輸送だけでなく、地域の特産品の輸送や販売にも取り組む方針を示しており、貨物事業にも関心を持っていた。

 さらに航空事業に加え、「機内での朝どれマルシェ」として特産品を販売する小売事業や、空き家を使った民泊の案内、奄美の日常体験や世界自然遺産の巡り、体験型の一日航空教室など、奄美群島の地域活性化につながる取り組みも計画されていた。

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