「ANAだと思って乗ったのに」わずか2年で消えた新ブランドの教訓――LCC再編とブランド戦略の課題とは
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2024年に運航を始めたエアージャパンがわずか2年で終了した背景を軸に、機材調達の難しさやブランド設計の課題、LCCとフルサービスの境目が薄れる世界的な流れ、さらに航空業界の次の競争軸が機材開発へ移りつつある現状を、国内外の事例とともに追う。ユナイテッド航空CEOの発言やサウスウエスト航空の変化、ZIPAIRや新興機体メーカーの動きも交え、業界転換の全体像を描く。
LCC事業モデルの変化

またエアージャパンについては、事業の形そのものが今の世界のLCCの流れから見ると古くなっている面があると考えられる。実際、座席をすべて同じ等級にする「モノクラス」や中古機の活用といったやり方は、海外の大手LCCでは以前ほど見られなくなっている。
例えば、マレーシアのエアアジア、フィリピンのセブパシフィック航空、インドのインディゴなどでは、横になれる上位席を取り入れる動きが進んでいる。また、東欧のウィズエアーも、これまでLCCの型を保っていると評価されてきたが、座席の間隔を広げた上位席の導入を決めている。
エアージャパンの座席間隔は32インチ(約81cm)で、他のLCCより約4cm広く、ANAの国内線よりも約1cm広い水準である。この点では一定の余裕がある。ただし、上位席を導入する他社と比べると、この広さだけでは強い特徴として伝わりにくい。結果として、LCC市場のなかで目立ちにくい位置に入ってしまった印象がある。
中古機の導入についても、立ち上げ期には見られる手法だが、ある程度規模が大きくなると新造機へ移る例が多い。燃費や整備費の面で不利になりやすく、安全運航の面でも管理の手間が増えるためである。実際、燃料費が上がった時期には中古機中心のLCCがコスト面で苦しくなり、経営が行き詰まった例もあった。
エアージャパンの場合は、使っている機材が現在も生産されているB787-8であり、過去の事例ほどの不利は大きくない。それでも、わずか3機という少ない機材で運航している以上、そのための整備体制を別に用意する必要があり、コスト面で負担になりやすい状況だったといえる。