「ANAだと思って乗ったのに」わずか2年で消えた新ブランドの教訓――LCC再編とブランド戦略の課題とは

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2024年に運航を始めたエアージャパンがわずか2年で終了した背景を軸に、機材調達の難しさやブランド設計の課題、LCCとフルサービスの境目が薄れる世界的な流れ、さらに航空業界の次の競争軸が機材開発へ移りつつある現状を、国内外の事例とともに追う。ユナイテッド航空CEOの発言やサウスウエスト航空の変化、ZIPAIRや新興機体メーカーの動きも交え、業界転換の全体像を描く。

サウスウエスト航空の路線拡大

筆者が当日撮影した様子(画像:前林広樹)
筆者が当日撮影した様子(画像:前林広樹)

 わずか2年で運航を終えたエアージャパンであるが、この動きは同社だけの問題ではなく、LCCという業界全体が変わりつつあることも示している。とくに注目されるのが米国のサウスウエスト航空である。

 同社は短距離路線の運航や拠点間の直行運航、エコノミーのみの座席構成、座席指定なし、機材の統一といった仕組みを作り上げた、LCCの原型ともいえる存在である。しかし1971年の運航開始からすでに半世紀が過ぎている。大きな転機となった米国の航空規制緩和(1978年)から見ても、約50年が経過したことになる。かつて競争相手だったピープル・エクスプレスやバリュージェットはすでに姿を消し、サウスウエスト航空自身も全米や周辺地域に多くの路線を持つ大手航空会社へと成長した。

 その結果、近年の方針には従来のLCCとは異なる動きが増えている。例えば2026年1月27日からは、追加料金を支払うことで事前の座席指定や広い座席の利用が可能になる仕組みを導入する。今後はラウンジの導入や、通路が2本ある大型機による長距離路線への進出も検討されているという。さらに長距離路線については自社運航に限らず、他社との提携によってひとつの航空券としてまとめて予約できる仕組みを進めており、そのなかにはANAも含まれている。

 LCCの代表的存在であったサウスウエスト航空でさえこのように変わりつつあることを踏まえると、LCCの仕組みそのものが大きな転換点を迎えているといえる。

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