“日本車の牙城”タイのモーターショーで起きた衝撃――「BYD首位」「中国勢上位8割独占」が示す市場構造の転換
BIMS2026は成約13.3万台(前年比71.8%増)と活況を呈した一方、上位10ブランド中8を中国勢が占拠。日本勢のシェアは3割へ低下し、市場構造の急変が鮮明となった。
販促競争激化とEV需要の急伸

新車の売れ行きが全体的に振るわないなかで開催されたBIMS2026では、かつてないほど激しい販促競争が火花を散らした。中国勢は最新モデルを矢継ぎ早に投入。会期中だけの値引きや特典を積み上げ、強引ともいえる勢いで成約をもぎ取っていった。
彼らはイベントが始まる前から見込み客を丹念に囲い込み、会場を展示の場ではなく、最終的な判を突かせる決済の場として徹底的に使い倒したのである。緊迫する中東情勢の影響でガソリン価格が高騰し、維持費の安いEVが、家計を守るための現実的な手段として浮上したことも追い風となった。
タイ政府が2026年1月から導入した、二酸化炭素の排出量に基づく新たな税制も、この流れに拍車をかけている。ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の場合、現地での生産や電池の調達状況といったハードルを越えれば税率が優遇される。だが、EVにはさらに手厚い支援が用意されていた。条件を満たせば最低2%という、
「驚くほど低い税率」
が適用される一方で、基準に届かない車両には重い税率が課される仕組みだ。
中国勢は、自国の補助金に加えて中国・ASEAN自由貿易協定による「関税ゼロ」の枠組みを使い、価格面での強みを不動のものにしている。この税制は、実質的に彼らが得意とする車種を後押しする土俵として機能しているといっていい。燃料価格の乱高下を嫌う消費者の心理を読み、EVを物価高への対抗手段として売り込んだ戦略が見事に当たった格好だ。政府の支援策は、制度の面から中国勢の勢いを強力に支えている。