アフィーラ中止は挫折か――北米の変容と“過去”を捨てる経営【短期連載】ホンダ「EV敗北論」という虚像(2)

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米EV市場の減速とIRA補助金打ち切りを受け、ホンダは最大2.5兆円規模の清算を決断。ソニー・ホンダのアフィーラ開発中止は、高級EV崩壊とAI主導の移動体競争への転換点を象徴する。

インセンティブ消失と政策転換の影響

アフィーラ Studio Beverly Hills(画像:アフィーラ)
アフィーラ Studio Beverly Hills(画像:アフィーラ)

 ソニー・ホンダが米国での発売に向けて準備を急ぐさなか、市場の空気は一変してしまった。

 2025年9月末、これまでEV普及の追い風となっていたインフレ抑制法(IRA)による最大7500ドルの税額控除が打ち切られた。米国政府が掲げていた普及促進の旗印が、事実上、下ろされたことを意味している。

 ゼネラルモーターズをはじめとするデトロイト3はEV事業の縮小を余儀なくされ、巨額の赤字を計上した。業界全体が電動化の熱狂から距離を置くなか、その余波はソニー・ホンダをも直撃したのである。とりわけ8万ドルを超えるような高級モデルの需要は予想を大きく下回り、もはや市場の実情とはかけ離れた存在となってしまった。

 日本メーカーにとって、米国の関税政策の変化も重い足かせとなった。2026年3月の米国販売実績を見ると、ホンダは前年同月比で12.0%減と沈んでいる。主力の「CR-V」が10.5%減、「HR-V」が26.2%減、さらに「シビック」も7.4%減と、これまで収益を支えてきた稼ぎ頭のモデルたちが軒並み苦戦を強いられている状況だ。これはホンダに限った話ではない。トヨタも8.5%減と13か月ぶりにマイナスへ転じ、スバルやマツダも前年割れの状態から抜け出せずにいる。

 屋台骨である既存モデルの稼ぐ力が衰えるなかで、膨大な投資を必要とするアフィーラを抱え続ける余力は、もはや残っていなかった。利益の基盤が揺らいでいる以上、このプロジェクトに終止符を打つことは、会社全体の存続を考えれば避けられない判断だったといえる。

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