アフィーラ中止は挫折か――北米の変容と“過去”を捨てる経営【短期連載】ホンダ「EV敗北論」という虚像(2)

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米EV市場の減速とIRA補助金打ち切りを受け、ホンダは最大2.5兆円規模の清算を決断。ソニー・ホンダのアフィーラ開発中止は、高級EV崩壊とAI主導の移動体競争への転換点を象徴する。

高価格EVモデル成立の限界

アフィーラ 1(画像:アフィーラ)
アフィーラ 1(画像:アフィーラ)

 ソニー・ホンダは、アフィーラの勝負所を米国に定めていた。2023年1月、ラスベガスで開かれた世界最大級の技術見本市「CES」で試作車を披露した際、彼らが提示したのはソフトウェアこそが車両の価値を決めるという新たな姿だった。ソニーが長年培ってきたエンターテインメントの技術を車内に持ち込み、これまでの移動体験を塗り替える。その対価として、市場が動くことを期待していた。

 2025年1月には、いよいよ第1弾モデル「アフィーラ 1」の予約を米国で開始。価格は8万9900ドル、日本円にして約1400万円という強気の設定だった。販売網の整備も着々と進み、2026年3月21日にはカリフォルニア州に新たな拠点「アフィーラ Studio & Delivery Hub」を構えている。州内で2か所目の納車拠点、ブランドを象徴するスタジオとしては6か所目。準備は万端に見えた。

 潮目が変わったのは2026年1月、テスラが下した決断だった。高級モデルの生産中止を突如として発表したのだ。テスラは既存の工場を人型ロボットの製造ラインへと作り変え、年間100万台という途方もない規模でロボットを送り出す計画を打ち出した。これは、彼らの主戦場が移動手段の製造から

「AI」

へと完全に移ったことを告げる出来事だったといえる。この市場の変容は、アフィーラにとっても他人事ではなかった。高級EV市場において、もはや車内での娯楽体験だけでは1400万円という高価格を納得させることが難しくなったのだ。

 販売台数が伸び悩めば、AIの精度を高めるために不可欠な走行データも集まらない。高付加価値を追い求めた当初の構想は、収益性だけでなく、進化のスピードという面でも大きな壁に突き当たったのである。

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