高円寺で再開発反対パレード開催 今こそ考えたい、私たちが「守るべき街」とは何か?

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5月15日、東京・高円寺で「やっぱり高円寺に再開発は要らないパレード」が開催され、SNSでも盛り上がりを見せた。このような対立は昨今、数多く見られる。最適解は何か。

下北沢駅周辺の新たな魅力づくり

下北沢駅周辺(画像:写真AC)
下北沢駅周辺(画像:写真AC)

 一方で、多くの問題をクリアして魅力的なまちづくりへと向けた動きが進んでいるのが、世田谷区の下北沢駅周辺だ。

 同地域の再開発は1970(昭和45)年、小田急線の線路を高架の複々線化する計画からスタート。この計画は騒音への懸念から反対運動が起こり、2001(平成13)年に高架から地下化へと計画が変更。2003年には世田谷区が地下化を前提に、駅前へ大型道路の計画を決めたが

「街が分断される」

と反対運動は法廷にまで持ち込まれた。

 この道路計画は、2011年に区長に当選した保坂展人区長により撤回。以降、ようやく住民との合意を前提とした再開発計画が進んだ。2013年以降は地下化された小田急線跡地の利用計画が議論され、2019年に温泉旅館やショッピング施設の整備が決まった。

 再開発の結果がうまくいくかいかないかは、正直なところ、誰にも分からない。前述の京成立石駅周辺にしても、区では雰囲気のある街並みが失われる代わりに、区役所が駅前になり利便性が高まることを挙げている。大山や十条の商店街でも、チェーン店は確かに増えており。「守るべき街」とは何かを考える面もある。

 長期的な視野に立てば、誰にでも使いやすい街になるには改良(再開発に限らず)は避けられない。問題は、その合意形成にどれだけの時間と労力を投じることができるかだ。また地域住民も、行政に任せきりで文句だけを並べるのではなく、主体的に問題を引き受けて、自らの頭で考え、行動することが求められている。

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