高円寺で再開発反対パレード開催 今こそ考えたい、私たちが「守るべき街」とは何か?

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5月15日、東京・高円寺で「やっぱり高円寺に再開発は要らないパレード」が開催され、SNSでも盛り上がりを見せた。このような対立は昨今、数多く見られる。最適解は何か。

十条駅前にも39階建てビル

駅前の建物が撤去された状態の十条駅周辺(画像:(C)Google)
駅前の建物が撤去された状態の十条駅周辺(画像:(C)Google)

 再開発への拒否感の根底にあるのは、それまでの風景が変わってしまうことだ。高円寺のような独特の雰囲気を持つ地域はより分かりやすい事例と言えるだろう。

 防災面が強化される代償として、商店街を中心に作られた人の流れやコミュニティーが壊されてしまうことを恐れるのは当然だ。加えて、そうした再開発によって出来上がる新しい街が、それまでの街よりも優れているのかどうか疑問視されることも多い。

 例えば、北区十条では駅前の商店が取り壊されて、39階建てビルの建設工事が進められている。板橋区大山でも商店街の中心部が更地になり25~26階建ての超高層ビル2棟が建設される予定だ。

 埼京線の十条駅から広がる「十条商店街」、大山の「ハッピーロード大山商店街」と言えば、いずれも23区北部で地域住民に親しまれる商店街の代名詞と言えるだろう。

 そうした商店街のすぐ近くに、まるで丸の内にあるような高層ビルが建てられるのだから、にぎわいそのものは増すのかもしれないが、むしろどこにでもあるような凡庸な街になってしまう可能性も大いにある。

街の魅力を奪う高層ビル

昭和風情が残った立石駅周辺(画像:(C)Google)
昭和風情が残った立石駅周辺(画像:(C)Google)

 似たような例で言えば、葛飾区の京成電鉄京成立石駅周辺の開発もある。立石駅北口では2021年5月に再開発組合が設立され、再開発の着工が迫っている。

 各社、35階建てと13階建てのビルの2棟を建設。現在は北口の商店街を抜けた先にある区役所も、このビルに移転する予定だ。

 この計画は京成電鉄で進んでいる線路の高架化ともリンクしている。将来的には駅南北に広がる商店街や飲み屋街などは完全に消滅すると考えられている。

 立石と言えば、路地に広がる戦後からの飲み屋街が最近では観光名所となっている。そんな場所に、どこにでもありそうな高層ビルが建てられたとき、街の魅力をどこに見いだせばよいのだろうか。

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