「その30km、本当に安全ですか?」 生活道路の事故1.9倍が突きつける、標識依存から“形で制御する”交通設計への転換とは
全国の人身事故は29万件台まで減少した一方、道幅5.5メートル未満の生活道路では死傷者数が広い道路の約1.9倍に達する。ゾーン30プラスは物理的制御で速度抑制を強め、死亡率3.0%に上昇する危険域を抑え込もうとする取り組みだ。
整備拡大と効果の数値確認

2025年度末時点で、ゾーン30の整備箇所は全国で4410か所、ゾーン30プラスは186か所に広がっている。2018年度末は、それぞれ3649か所と66か所であり、数としては着実に増えてきたことが分かる。
効果も数字として確認されている。横断歩道と段差を組み合わせた仕組みの検証では、設置前は時速30kmを超えて走る車が47%を占めていたが、設置後は28%まで低下した。歩行者がいる場面での車の停止や徐行も、74%から89%へと増えている。
こうした結果は、物理的な仕組みが走行行動に影響を与えていることを示している。路面の段差は、速度を落とさなければ車に揺れが生じることをドライバーに直接伝え、その結果として歩行者の安全性を高める。判断をドライバーに委ねるのではなく、道路の形そのもので行動を誘導する考え方に近い。
一方で、ゾーン30プラスの導入がまだ限られているのは、住民との調整に手間がかかるためだ。物理的な対策は通り抜ける車だけでなく、地域で暮らす人の使い勝手にも影響する。そのため、事前の合意形成が欠かせない。
それでも、安全性が目に見えて高まる点は大きい。通行の流れを整える取り組みは、結果として暮らしやすさや地域の価値を支える土台にもなりうる。