「その30km、本当に安全ですか?」 生活道路の事故1.9倍が突きつける、標識依存から“形で制御する”交通設計への転換とは
全国の人身事故は29万件台まで減少した一方、道幅5.5メートル未満の生活道路では死傷者数が広い道路の約1.9倍に達する。ゾーン30プラスは物理的制御で速度抑制を強め、死亡率3.0%に上昇する危険域を抑え込もうとする取り組みだ。
物理的制約による通行制御の強化

人が安心して通れる道を確実にするため、ゾーン30プラスでは道路上に物理的な仕組みを置くようになっている。これまでの交通規制は、ドライバーの判断や順守する意識に依存する部分が大きかったが、形そのものに働きかけて動きを制限することで、状況に左右されにくい安全な通行を促している。
一部の地域で導入されているライジングボラードは、その代表的な例だ。上下する柱によって車の進入そのものを止める仕組みであり、見回りや取り締まりに頼る負担を軽くしつつ、あらかじめ環境側で対応を組み込む考え方に立っている。
速度を抑える手段も広がっている。路面を盛り上げて減速を促すバンプ、車道を部分的に狭くする狭さく、道をわずかに曲げて直進しにくくするシケインなどが挙げられる。いずれも、速度を落とさなければ車に揺れや負担が生じるようにし、その不利益を通じて自然と減速を促す仕組みだ。
ドライバーの判断に委ねるのではなく、形による制約で安全な走行を安定させる狙いがある。こうした強い手段が用いられる背景には、生活道路に残る危険がいまだ根深いという事情があるのだ。