「20億円で終わらせます」 JR久留里線9.6km廃止は“手切れ金”なのか?――営業係数6694円が示した現実的終点

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営業係数6694円、1日76人。JR東日本は久留里線9.6kmを廃止し、18年分20億円を拠出してバスへ転換する。首都圏初の路線廃止は、赤字年2億円の現実と費用対効果を突きつけた決断だ。

「条件整えば廃止」という見通し

鉄道廃止とバス転換の概要。
鉄道廃止とバス転換の概要。

 千葉県や君津市も、JR東日本から示された廃止の申し入れをすぐに受け入れてきたわけではない。ただし、久留里~上総亀山間の1日あたりの利用者が100人に満たない現状を踏まえると、自治体が大きな負担を担ってまで鉄道として維持する方向は示されなかった。バスへの転換は、一定程度想定されていた対応だったといえる。

 この区間では並行する国道がおおむね整備されており、所要時間も鉄道とバスで大きな差はない。千葉市や東京方面へは高速バス「カピーナ号」「アクシー号」も運行されている。通学する高校生や通院する高齢者への配慮は必要だが、この区間に限れば、バスへ移行するための環境は整っていたとみられる。

 前述の「ご利用の少ない線区の経営情報(2024年度)」を見ると、久留里~上総亀山間より厳しい数値の路線や区間もある。

 久留里~上総亀山間は10kmに満たない短い区間で、営業係数は厳しいものの、距離が短い分、赤字の総額は比較的小さい。一方、距離の長い路線では営業係数がやや良くても、赤字の総額が大きくなることがある。

 距離が長ければ並行道路の整備状況にも左右され、バスへ移行する場合の負担額も増える可能性が高い。沿線自治体の数も多くなり、合意形成は難しくなる。こうした場合は廃止の判断は容易ではなく、上下分離や第三セクター化といった選択肢が検討されることになる。

 これに対し、久留里~上総亀山間のように距離が短く、バス転換の条件がそろっている区間は、今後も負担金を支払う形で廃止に向かう可能性がある。

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