「何を言ってもハラスメントになりそう」 若手指導に疲れ果てた上司たちの葛藤、7割が指導を手加減する現実とは

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残業ゼロ、叱責ゼロ、ノルマゼロ――理想的な職場に、思わぬ副作用が生じている。全国600人調査では、負荷が低い若手の54.8%が転職を検討し、管理職の68.3%は指導を控える現実が浮き彫りになった。

ホワイト職場の逆説

面談する上司・部下イメージ(画像:写真AC)
面談する上司・部下イメージ(画像:写真AC)

「残業なし、叱責なし、ノルマなし」。かつては理想とされた職場環境で、いま思わぬ現象が生じている――弁護士保険比較サイト「弁護士保険STATION」を運営するエレメント(神奈川県川崎市)が2026年2月に実施した全国600人調査(2026年2月25日発表)によると、現在の職場負荷を「非常に低い」「低い」と回答した若手は42%に達した。そのうち11%が物足りなさや将来への不安を感じている。また、職場負荷が低い層の54.8%が将来のリスクを理由に転職を検討しており、10.3%は具体的に活動を進めている。平穏な環境がかえって、個人の能力という資産が目減りする不安を招いていると考えられる。

 一方、管理職側では

「68.3%」

がハラスメントを恐れて指導を控え、あるいは手加減した経験があると回答した。指導で最も神経を使うのは「言葉選び(68.8%)」だ。上司たちは、自らの発言がトラブルに直結する状況に直面している。その結果、44.9%がチームの生産性低下を懸念し、42.4%が次世代を担うリーダーが育たないと感じている。法的トラブルへの備えがあれば自信を持って指導できると答えた管理職は50.7%にのぼった。

 若手と上司、双方が不満を抱えながらも、それぞれ自分の置かれた立場において理にかなった選択をしている。どちらかが悪いわけではなく、それぞれが避けるべきリスクの種類が異なっているのだ。本稿では、この問題を善悪で分けるのではなく、双方が抱える前提条件の違いとして読み解く。

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