「何を言ってもハラスメントになりそう」 若手指導に疲れ果てた上司たちの葛藤、7割が指導を手加減する現実とは

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残業ゼロ、叱責ゼロ、ノルマゼロ――理想的な職場に、思わぬ副作用が生じている。全国600人調査では、負荷が低い若手の54.8%が転職を検討し、管理職の68.3%は指導を控える現実が浮き彫りになった。

上司の合理性

男女600人を対象に行われた「ホワイトハラスメント」に関するアンケート調査の結果(画像:エレメント)
男女600人を対象に行われた「ホワイトハラスメント」に関するアンケート調査の結果(画像:エレメント)

 調査結果によると、管理職の68.3%が、部下への指導を控えたり手加減したりした経験を持っている。この背景には、今の社会におけるルールや価値観の変化に自分を合わせようとする判断がある。ハラスメントに対する法的な規制が整い、企業の社会的な評判がすぐに広まるようになったことで、上司による指導は昔よりもはるかに

「個人的なリスクをともなう行為」

となった。特に注目すべきは、指導の際に最も神経を使うのが「言葉選び(68.8%)」であるという点だ。自分の発言が記録され、そのまま外に伝わる可能性がある現代では、慎重に言葉を選ぶことは自分と組織を守るための現実的な行動といえる。また、人手不足が続くなかで「相手の離職やメンタルへの影響(28.8%)」を心配することも、貴重な働き手を失うことによる大きな損失を考えれば納得できる判断だ。

 法的トラブルへの備えがあれば自信を持って指導できると回答した人が50.7%に達した事実は、上司に教える能力がないのではなく、もしもの時の責任を個人で負いきれない不安が壁になっていることを示している。上司が部下に深く踏み込まないのは、決して無関心だからではない。今の環境のなかで、自分にふりかかるトラブルを最小限に抑えようとした結果なのだ。

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