「何を言ってもハラスメントになりそう」 若手指導に疲れ果てた上司たちの葛藤、7割が指導を手加減する現実とは

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残業ゼロ、叱責ゼロ、ノルマゼロ――理想的な職場に、思わぬ副作用が生じている。全国600人調査では、負荷が低い若手の54.8%が転職を検討し、管理職の68.3%は指導を控える現実が浮き彫りになった。

新しい職場のかたち

「ゆるい職場」の意識のズレ。
「ゆるい職場」の意識のズレ。

 職場の環境が整うことは、本来、働くすべての人にとって喜ばしい変化である。しかし、今回の調査が示した

・成長を求める若手
・リスクを恐れる上司

のすれ違いは、企業が新しい課題に直面していることを物語っている。

 若手の5割以上が仕事の負荷の低さに不安を感じている事実は、もはや働きやすさだけでは

「優秀な人材を引き留められない時代」

になったことを意味する。彼らにとって職場は、給料を得る場であると同時に、将来の自分を形作る訓練の場でもある。この期待に応えられないことは、組織にとって深刻な損失につながるだろう。

 一方で、上司が指導をためらう背景には、個人では抱えきれないほどの法的な不安がある。半数以上の管理職が保険などの後ろ盾を求めている事実は、現場の努力だけでは解決できない限界を露呈している。会社が責任の所在を明確にし、指導にともなうリスクを制度でカバーすることは、健全な意思疎通を取り戻すために欠かせない。

 これからの組織に求められるのは、単に波風を立てないことではない。お互いの将来のために必要な助言を、リスクを恐れずに交わせる関係を築くことだ。若手が求めている

「対面での納得感あるフィードバック」

を、上司が不安を感じることなく伝えられる環境。それを整えられるかどうかが、これからの企業の競争力を決める。平穏の先にある成長を見据えて、新しい職場のあり方を模索し続ける必要があるだろう。

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