「米国車」は世界から見捨てられるのか? トランプ「新車45万円値下げ」の号砲――排出規制撤廃が招く“合理的自滅”とは
トランプ政権が排出規制全廃を断行した。新車の45万円値下げと200兆円の負担減を掲げるが、日本車勢が投じた8兆円超の資金は回収不能な重荷となり経営を蝕む。目先の安さが招くのは、世界標準から切り離された技術的孤立だ。米国産業の未来を切り売りし、技術的空白地帯へ至る危うい決断の深層を冷徹に分析する。
内燃機関の復権と孤立

米国市場の現状は、低価格のガソリン車に回帰する流れが産業全体に与える影響を問いかける。果たしてこれは内燃機関技術の復権を意味するのか。それとも世界標準から孤立し、競争力を失う前兆なのか。
現状を見る限り、多くのメーカーは米国を最先端技術を試す場とは見なしていない。既存のエンジン技術で収益を確保する市場と位置づける傾向が強い。米国向け専用の開発に割ける資源は限られ、これまで投入した巨額の電動化投資の回収も容易ではない。低公害車やEVの販売価格は、米国以外の市場で維持されることになる。投資回収の負担は事実上、欧州やアジア市場に押しつけられる。
米国独自の基準が続けば、生産効率や部品の共通化が損なわれる。世界市場における米国の立場は、技術潮流から切り離された状態に置かれる。共和党内でも今回の措置を過激とする声があり、民主党は強く反発している。こうした政治的揺れは、米国を技術競争の最前線から切り離す。世界のメーカーにとって米国は、高付加価値技術を試す市場ではなく、旧世代技術の収益確保用市場として扱われる可能性が高い。
この流れは恒久的な変化ではない。世界市場の技術ポートフォリオに一時的な歪みをもたらすものにとどまるだろう。