高速道路の8割が「老朽化」 リニューアル工事が渋滞を常態化、物流・地域経済に積み上がる“見えない損失”とは

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開通から30年以上が約6割、2030年には8割へ――老朽化が進む高速道路で更新工事が常態化し、車線規制と渋滞が地域経済を直撃する。止めずに直す時代の“見えないコスト”が、いま生活と物流を圧迫している。

時間調整の限界

沖縄自動車道(画像:写真AC)
沖縄自動車道(画像:写真AC)

 リニューアル工事にともなう渋滞は、いまや各地で当たり前の光景になった。かつては一部の区間で一時的に起きる出来事と受け止められていたが、実際には地域の移動全体に影響が及ぶ規模へ広がっている。道路の一角で起きた制限が、そのまま生活圏の動き方を変えてしまう。そんな状態が常態化しつつある。

 沖縄県の沖縄自動車道でも、2026年1月から4月にかけて工事が続く。石川ICから金武ICまで約3.4km、金武から許田まで約2km。いずれも終日にわたり対面通行となる区間だ。距離だけ見れば長大とはいえないが、交通の流れに与える影響は小さくない。

 実際、工事が始まった直後の1月6日から13日までの実績を見ると、すでに上下線で滞りが目立った。上りは平日も休日も16時から18時にかけて列が伸び、最大で4.5km。下りは平日の6時から8時、休日の8時から10時が山となり、最大7.2kmまで膨らんだ。今後は休日のピーク時に約9kmに達する見込みも示されている。日々の通行において、混雑が例外ではなく前提に近づいていることが、数字からそのまま読み取れる。

 国土交通省や東日本高速道路は、混み合う時間帯を避けることや、早めに出発することを呼びかけている。理屈としては理解できる。ただ、それがそのまま実行できる人ばかりではない。予定を自分の裁量で動かせる立場は限られているからだ。育児や介護、医療、物流に携わる人は、始業や訪問の時刻が先に決まっている。取引先や患者、利用者に合わせて動く以上、出発時刻を前後させる余地はほとんど残らない。

 地方ではさらに条件が厳しい。公共の窓口や商店の営業時間が短く、訪問できる時間帯そのものが限られる。代わりに使える交通手段も多くない。並走する幹線道路が少ないため、高速道路が詰まれば周辺の一般道も同時に混み合う。どこかに逃げるという発想が成り立たず、混雑を受け入れるしかない場面が増えていく。

 通勤や通学の時間帯には、所要時間が普段の倍以上に伸びることも珍しくない。平均で30分から60分の増加が続けば、その負担は軽視できないだろう。毎日の積み重ねが、仕事や家庭の余裕を削り、地域全体の活動の効率を下げていく。「時間をずらす」という助言が現実に当てはまらない人が一定数いる。その事実が、これらの数字から淡々と浮かび上がってくる。

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