高速道路の8割が「老朽化」 リニューアル工事が渋滞を常態化、物流・地域経済に積み上がる“見えない損失”とは
容量低下と渋滞の慢性化

対面通行に切り替わると、道路の使い方は大きく変わる。たとえば片側2車線の区間であれば、通れる空間は計算上で半分、50%に減る。数字だけ見れば「半分になるだけ」の話に映るかもしれないが、実際の流れはそこまで単純ではない。
車線は狭くなり、路肩もなくなる。対向車との距離が近づくため、運転手は自然と速度を落とす。少しの緊張が続くだけで、車の間隔は広がり、加速も鈍る。結果として交通の流れそのものが弱くなり、さばける台数は50%をさらに下回ることが珍しくない。見かけの容量よりも、実際の処理能力の落ち込みのほうが大きい。
この状態のまま交通量が増える時間帯に入ると、流入が流出を上回り始める。処理しきれない車が少しずつ積み上がり、やがて列になる。いったんできた渋滞は、後続車を吸い込みながら下流へ伸びていく。減るより増えるほうが長く続くため、混雑はなかなかほどけない。短時間で解消する種類の詰まりではなく、何時間も残り続ける重たい滞留に変わっていく。
しびれを切らした利用者が一般道へ回り始めると、別の問題が表に出る。インターチェンジ(IC)の出口や周辺の交差点に車が集中し、高速道路の影響がそのまま地域の道路へ移る。普段は生活の足として使われている道まで混み合い、通勤や配送、救急搬送といった日々の移動にも遅れが出る。高速道路のなかの出来事で収まらず、周辺全体に広がってしまう。
さらに厄介なのが、規制区間で事故や故障が起きた場合だ。片側2車線以上ある通常の区間なら、2~3時間で終わる復旧作業でも、対面通行では逃げ場がほとんどない。退避スペースが乏しく、レッカー車や作業車の動きも制約を受ける。車両の移動に丸一日以上かかる例も出てくる。こうした条件が重なることで、交通の停滞は一時的なトラブルでは済まず、長時間続く状態として居座ることになる。