高速道路の8割が「老朽化」 リニューアル工事が渋滞を常態化、物流・地域経済に積み上がる“見えない損失”とは

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開通から30年以上が約6割、2030年には8割へ――老朽化が進む高速道路で更新工事が常態化し、車線規制と渋滞が地域経済を直撃する。止めずに直す時代の“見えないコスト”が、いま生活と物流を圧迫している。

対面通行という選択

対面通行の看板(画像:写真AC)
対面通行の看板(画像:写真AC)

 工事は、交通量が落ち着く夜間に行われることが多い。人の動きが少ない時間帯のほうが影響を抑えやすいからだ。ただ、現場の実情は少し違う。夜は人件費が割高になり、照明や警備の手配も増える。結果として、日中より費用がかさむケースが少なくない。

 しかも作業できる時間は限られている。毎晩、準備をして、終われば片付ける。その繰り返しで、実際に手を動かせる時間は思ったほど長くない。細切れの工事を重ねても進みは鈍い。工程も読みづらくなる。だったら、ある程度まとまった期間、車線を規制して連続的に作業したほうが早いし、全体の費用も抑えやすい。予算に余裕がないなかでは、そうした判断に傾くのも無理はない。

 橋や高架部になると事情はさらに厳しくなる。足場を組み、重機を置くにはそれなりの空間がいるが、もともと幅に余裕がない場所が多い。車線を少し残したまま工事を進めようとすると、安全の確保が難しく、作業効率も落ち込む。結局、片側を思い切って閉鎖し、残りを対面通行に振り替えるやり方が、通行を維持しつつ補修を進める現実的な方法として定着してきた。

 最近は東名高速道路や中央自動車道で、5年以上にわたって車線を段階的に切り替えながら補修を続ける運用も見られる。路線そのものを止めないことが前提になり、交通を流しながら同時に手を入れていく。それが当たり前になりつつある。

 もっとも、このやり方は利用者や周辺地域にとって楽な話ではない。規制が長く続けば、渋滞や所要時間の増加が日常の風景になる。物流の遅れも積み重なっていく。いつ終わるのかはっきりしない不便を抱えたまま、暮らしや仕事を回さなければならない。工事を止めないための選択が、別のかたちで負担を広げているのが現実である。

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