率直に言う テスラ「高級EV撤退 = 敗北」という考えは間違いだ――61%減益の渦中で下した“スペック競争”との決別

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テスラが高級EV「モデルS」「モデルX」の生産終了を決めた。最終利益61%減、売上高も初の減収。工場をロボット生産へ振り向けた判断は、EV競争の次を映す。

収益優先の判断

テスラ(画像:Pexels)
テスラ(画像:Pexels)

 テスラは2026年1月28日(米国現地時間)、2025年第4四半期の決算説明会で、電気自動車(EV)の「モデルS」と「モデルX」の生産を終了する方針を明らかにした。これら2車種の日本向け生産はすでに2025年3月に終わっている。最高経営責任者のイーロン・マスクは、次の四半期中に生産を止める考えを示し、その後、カリフォルニア州フリーモント工場の生産拠点をヒト型ロボット「Optimus」の製造ラインへ切り替えるとしている。同紙は、この拠点でのロボット生産が2026年末から始まり、将来的には年100万台規模を目標にする見通しだと伝えた。

 高級EVとして位置づけられてきたモデルSとモデルXを段階的に手放す今回の判断は、EV市場がすでに初期段階を抜け、競争の様相が変わってきたことを映し出している。価格競争が激しくなり、新規参入も相次ぐなかで、利益を確保しにくい環境が広がっている。日本経済新聞が報じたところでは、テスラの2025年10~12月期の最終利益は前年同期から61%減り、8億4000万ドルにとどまった。

 通年の売上高も前の期を3%下回り、上場以来初めての減収となった。こうした数字を踏まえると、生産設備を維持し続けることそのものが重荷になりつつあるのだろう。今回の工場転用は、固定的な負担を抱え込まず、より高い収益性が見込める分野へと経営資源を移す判断だったと受け止められる。

 米国では自動運転やAIを巡る規制の緩和が進み、EVを脱炭素の象徴として扱ってきた政策の位置づけにも変化が生じている。移動のあり方を環境面から見直す動きは続いているが、その手段はひとつに限られなくなった。テスラは、AIの責任の所在を巡る法解釈が今後どのように変わるかを見据えつつ、車両製造にともなう物理的な制約から距離を取り、相対的に有利な立場を確保しようとしているようにも見える。ロボット生産への転換は、技術だけでなく制度環境の変化を織り込んだ動きとして読むこともできる。

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