BEV・PHEV・FCEV 結局どれが「使える」のか? 電動走行距離と価格帯から違いを探る

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欧州議会が発行した文献を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第2回は、世界市場の趨勢と併せてEVの種類別の特徴を考える。

欧州自動車産業に関する特徴分析

欧州委員会による、欧州の自動車産業のSWOT(強さ・弱点・機会・脅威)評価(画像:大庭徹)
欧州委員会による、欧州の自動車産業のSWOT(強さ・弱点・機会・脅威)評価(画像:大庭徹)

 欧州委員会ECは、欧州の自動車産業を上図のように評価している。

 欧州の自動車産業は長い伝統に裏付けられたブランド力、優れた技術力と人的資源によって世界の自動車産業をリードしてきたが、その伝統に縛られて(例えば「ディーゼルゲート」)、CASEに集約される総合的な電子化・電動化への対応が遅れた。

 欧州の政治はこのような状況を打破すべく、気候変動抑制を錦の御旗に、再生可能電力と代替エネルギー関連の主導権を握る戦略を進めている。

 欧州の自動車産業界は「ESG投資」の圧力により表面的には政治と同調している。本心は半信半疑のようだが、全方位開発を続けるための経営的・技術的な体力はない。

「バッテリーEV」への一極集中は、

(1)再生可能電力需要増とインフラの増強
(2)ライフサイクルでのCO2排出
(3)バッテリーのリサイクル

など、国民への負担と新たな環境汚染の潜在的なリスクを抱えている。

 このリスクが顕在化したとき、被害を受けるのは消費者だが、平均的な消費者の科学技術に対する興味と理解力には限界がある。

 政治の雰囲気に押され、流れに身を任せていると、気が付いたときには滝から落下しておぼれているかもしれない。

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