BEV・PHEV・FCEV 結局どれが「使える」のか? 電動走行距離と価格帯から違いを探る

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欧州議会が発行した文献を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第2回は、世界市場の趨勢と併せてEVの種類別の特徴を考える。

リチウムLiイオン電池 vs 水素燃料電池FC

バッテリーEV 対 燃料電池EV 乗用車編(画像:There's still hope for the fuel cell)
バッテリーEV 対 燃料電池EV 乗用車編(画像:There’s still hope for the fuel cell)

 VWはリチウムLiイオン電池が勝者であると明言する一方、ホンダ、現代(ヒョンデ)やトヨタは依然として水素燃料電池FCも開発している。リチウムLiイオン電池と水素燃料電池FCは二者択一ではない。現時点では、製造と輸送過程での汚染物質排出の課題が残るが、最終状態ではどちらも環境改善に大きく貢献するだろう。

 リチウムLiイオン電池は短距離走行の繰り返しに適し、長距離走行や大出力が必要な場合は水素燃料電池FCが有利となるだろう。

 政治レベルは、BEVであれ水素燃料電池FCEVであれ、ゼロ排出であれば良いと考えている。BEVとFCEVの得失を上記の表で比較した。

 乗用車ではBEVが先行しているが、このまま逃げ切れるのかは定かではない。燃料電池FCは船舶や商用車にも適するし、エンジンの代替燃料として水素の活用も模索されている。

 大型長距離走行トラックの場合、BEVもFCEVも準備は整っていないが、供給インフラが必要な場所と利用頻度が明確なため、運送会社が自社で設置しやすい。総所有コストはBEVトラックが15%程度安く、給油時間はFCEVトラックが圧倒的に有利で、どちらを重視するかは運送会社の判断次第だ。

バッテリーEVと燃料電池EVの歴史

 BEVの歴史は古い。1873年には、イギリスで最初の実用的電気自動車が製作され、1899年には時速100kmを超える記録を残したが、1907年、T型フォードの量産に駆逐されて姿を消した。

 一方、燃料電池の原理モデルは1839年にイギリスで製作されたが、実証モデルの製作は約1世紀後の1952年だ。現在の科学技術では、需要が定まれば進化は速い。

 一長一短あるが、数が増え、コストが同等となり、必要なインフラも整備されたとき、リチウムLiイオン電池のリサイクル問題が解決されていなければ、ライフサイクルにおける持続可能性の観点で、決定的なマイナス要因となる。

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