中国EV「制御不能」――知財ライセンスで欧米メーカーを“下請け化”、日本は開発主権・ブランド価値をどう守るべきか?
世界のEV市場で中国勢が占める割合は6割を超え、車載バッテリーではCATLが約4割を握る。技術と規格を外部に供給するライセンス型戦略により、欧米メーカーは自社開発の主導権を失いつつあり、供給網や産業秩序が静かに書き換えられている現実を読み解く。
静かに進む構造変化への対処

中国勢の動きは、特定の企業や国の評価にとどまらない。技術や規格が静かに広がり、選択肢そのものがいつの間にか制限されていくプロセスに、日本人はどれだけ気づいているだろうか。今回の変化が厄介なのは、目に見える衝突や対立をともなわず、合理性の名のもとに受け入れられてしまう点にある。
日本の自動車産業に求められるのは、過去の成功体験を繰り返すことではない。どこを内部に残し、どこを外部に委ねるか。その線引きを、個々の企業だけでなく業界全体として言語化し、共有できるかどうかが試されている。選ばされる側に回らないためには、判断を先送りせず、主体的に決断を下す姿勢が欠かせない。
国際競争力という言葉を掲げるだけでは不十分だ。その意味を、現実の力関係や技術の流れに即して書き換える必要がある。静かに進む構造変化の中で、日本はまだ選択できる立場にある。その時間が無限ではないことだけは、確かだ。