中国EV「制御不能」――知財ライセンスで欧米メーカーを“下請け化”、日本は開発主権・ブランド価値をどう守るべきか?
世界のEV市場で中国勢が占める割合は6割を超え、車載バッテリーではCATLが約4割を握る。技術と規格を外部に供給するライセンス型戦略により、欧米メーカーは自社開発の主導権を失いつつあり、供給網や産業秩序が静かに書き換えられている現実を読み解く。
東南アジアで加速する中国流の生産体制

中国企業による動きは、欧米の市場やメーカーにとどまらず、他地域においても勢いが増している。
長らく日本車の牙城であった東南アジアでも、BYDを始めとした中国勢が急速にシェアを拡大している。タイにおける日本車シェアは、過去5年間で9割から7割へ低下している。BYDなどの中国勢は、タイやインドネシアでの現地生産に戦略を転換し、車両工場の設立を加速している。
特にBYDはスマートファクトリー化を推進しており、工場近隣にサプライチェーンを集約した製造OSの移植を進めている。これは工場の建設にとどまらず、設計データから物流、品質管理に至るすべての工程を中国独自のデジタル・プロトコルで規定する産業構造の輸出に他ならない。
中国勢は自動車販売にとどまらず、製造規格までも掌握し始めている。こうした潮流は、日本メーカーが長年築き上げてきた東南アジアでの優位性を根底から揺るがしている。さらに日系サプライヤーにとっても、構造的にサプライチェーンから排除されるリスクが急速に高まりつつある。
日本メーカーが東南アジアに進出した中国サプライヤーを採用する動きが広まり、東南アジアにおけるサプライチェーンは激しい競争の局面を迎えている。製造規格やデータ連携などを基盤として、中国勢の影響がさらに強まれば、日本流の品質管理や調整能力は無効化され、日系サプライヤーの競争力は構造的に低下していく。