中国EV「制御不能」――知財ライセンスで欧米メーカーを“下請け化”、日本は開発主権・ブランド価値をどう守るべきか?
欧州メーカーが頼る中国製プラットフォーム

世界市場を席捲する中国EVメーカーは、一部で外資メーカーとの提携を強化し、EVの基盤技術となる電気/電子(E/E)アーキテクチャやプラットフォームを外販する動きを活発化させている。
VWは、中国市場向けのEV開発を加速するため、2023年7月に小鵬汽車(シャオペン)に出資した。さらにシャオペンのプラットフォームをベースとしたEV2車種を共同開発し、VWブランドで発売することにも合意した。2024年2月にはプラットフォームやソフトウェアの共同開発、部材の共同購買などにも協業関係を広げた。
VWの狙いは、新型車の開発期間を30%以上短縮するとともに、大幅なコスト削減を実現することにあった。さらにVWは、2026年以降に中国で生産するすべてのEVに、シャオペンのE/Eアーキテクチャを搭載する計画である。これは、かつてエンジンの内製化でブランド価値を確立したメーカーが、車両の挙動やユーザー体験を決定づけるソフトウェアの支配権を外部に委ね、外装の意匠だけを担当する車体製造業者へと変質していることを示唆している。
一方、ステランティスは零●汽車(●はあしへんに包、リープモーター)のプラットフォームを採用したEVを2026年からスペインで生産する。すでにリープモーターはEVの「T03」と「C10」の二車種を欧州で展開しているが、いずれもステランティスとの提携前に設計・開発されたものだ。今後、リープモーターが欧州市場に投入する新モデルは、ステランティスの研究開発施設で欧州市場のニーズに合わせた改良が施される。両社の提携によって、リープモーターは欧州市場への浸透をより一層深めていく見通しである。
また世界最大手の車載バッテリーサプライヤーであるCATLは、広範囲の自動車部品を手がけるメガサプライヤーとして変貌を遂げている。世界トップシェアの車載バッテリーに加えて、電動アクスルや車両制御ソフトウエアなどをEV用プラットフォームとしてパッケージ化し、提供し始めている。供給先は、重慶長安汽車や北京汽車などの中国勢にとどまらず、東風日産や長安マツダなども採用し、その存在感を高めている。
欧州メーカーは、EVの自社開発による負担を軽減するため、中国製の効率的なプラットフォームを採用する決断を下している。欧州メーカーと中国資本との関係性は、従来の合弁事業を超え、中国技術を吸収し、その更新サイクルに自社の存立を委ねる形へと転換している。EVが主流となるなかで、長らく自社開発力を強みにしてきた欧州メーカーは、既存の開発モデルだけでは生き残れない現実に直面している。