「茨城のローカル線」まさかの3km延伸へ――あの廃止表明から20年、赤字からの逆転劇に「観光・通勤需要」も期待の声か

キーワード :
, , ,
国土交通省は、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸を含む再構築計画を認定した。総事業費148億円を自治体が支え、2036年度までに阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園西口間3.1kmを延伸。年間輸送118万人のローカル線が観光と通勤・通学需要を取り込み、地域活性化の新たな局面を迎える。

延伸区間の遠回りと波動需要

年間200万人超が来園する国営ひたち海浜公園(画像:公園財団)
年間200万人超が来園する国営ひたち海浜公園(画像:公園財団)

 延伸計画は現実味を帯びてきたが、課題も指摘されている。

 地図で見ると明らかだが、延伸区間はL字型の路線の先を勝田方面へ逆戻りするU字型となる。道路は勝田駅から国営ひたち海浜公園西口までほぼ一直線で結ばれているのに対し、鉄道は遠回りになる。

 現在、勝田駅と国営ひたち海浜公園西口を結ぶ路線バスは片道17分、運賃は450円である。これに対し、湊線の勝田~阿字ヶ浦間は片道28分、運賃は570円だ。延伸によって時間も運賃も増える見込みである。もちろん、バスは道路渋滞の影響を受けるため、一概に鉄道が不利とはいえない。ただ、運賃設定は今後検討の余地があるだろう。

 延伸先の国営ひたち海浜公園は年間200万人が来園する県内屈指の観光スポットだ。しかし花の開花シーズンやイベント開催日など、特定の日に来園者が集中する課題がある。観光需要は波動性が高く、鉄道側もピーク時とオフピーク時の輸送を可能な限り平準化する必要がある。

 一方、現在の終点・阿字ヶ浦駅と新駅周辺では工業団地造成や宅地分譲が進んでおり、観光以外の需要も期待されている。

 第三セクター鉄道やローカル線では久々の明るい話題だけに、今後の動きに注目したい。

全てのコメントを見る