「茨城のローカル線」まさかの3km延伸へ――あの廃止表明から20年、赤字からの逆転劇に「観光・通勤需要」も期待の声か

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国土交通省は、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸を含む再構築計画を認定した。総事業費148億円を自治体が支え、2036年度までに阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園西口間3.1kmを延伸。年間輸送118万人のローカル線が観光と通勤・通学需要を取り込み、地域活性化の新たな局面を迎える。

2市合併による全区間自治体完結

2021年1月、上原鉄道局長より事業許可書の交付を受ける吉田社長(画像:ひたちなか海浜鉄道)
2021年1月、上原鉄道局長より事業許可書の交付を受ける吉田社長(画像:ひたちなか海浜鉄道)

 ひたちなか海浜鉄道と延伸計画に触れる前に、まず湊線全区間(延伸区間を含む17.4km)が所在する自治体「ひたちなか市」を説明する必要がある。

 同市は1994(平成6)年、日立グループの工業都市として発展した旧勝田市と、水産業を中心に発展した旧那珂湊市が合併して誕生した。西と東で性格の異なるふたつの市街地が連邦型の自治体を形成している印象が強い。

 日本では2000年代以降、平成の大合併で地方自治体の統合が進んだが、同市はその先駆けだった。旧勝田市の市街地はJR常磐線の勝田駅周辺に広がり、旧那珂湊市の市街地は湊線の那珂湊駅周辺に位置する。両市街地は離れており、現在でも異なる都市性が残る。

 旧那珂湊市街地の北には磯崎・阿字ヶ浦のまとまった市街地があり、阿字ヶ浦には関東屈指の海水浴場がある。

 北東部に位置する国営ひたち海浜公園は延伸計画の目的地である。旧陸軍飛行場跡地に1991年開園した約200haの大規模公園で、花の名所としても知られる。特に5月のネモフィラの季節は関東広域から多くの来園者を集め、年間来園者は200万人を超える。短期間で茨城県屈指の観光スポットに成長した。

 ひたちなか市は多様な顔を持つ自治体である。1994年の合併により、湊線全区間はひとつの自治体に収まった。第三セクター鉄道では路線が複数自治体にまたがる場合、調整が必要になるが、湊線ではその手間が省ける形となった。

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