「茨城のローカル線」まさかの3km延伸へ――あの廃止表明から20年、赤字からの逆転劇に「観光・通勤需要」も期待の声か

キーワード :
, , ,
国土交通省は、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸を含む再構築計画を認定した。総事業費148億円を自治体が支え、2036年度までに阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園西口間3.1kmを延伸。年間輸送118万人のローカル線が観光と通勤・通学需要を取り込み、地域活性化の新たな局面を迎える。

第一工区開業2029年度、全体開業2036年度

ひたちなか海浜鉄道(画像:写真AC)
ひたちなか海浜鉄道(画像:写真AC)

 国土交通省関東運輸局は2025年10月31日付で、ひたちなか市とひたちなか海浜鉄道から申請のあった「鉄道事業再構築実施計画」を認定した。認定は「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律第24条第2項」に基づくもので、同年12月22日付で正式に決定した。この実施計画では、ひたちなか海浜鉄道湊線の施設整備や維持管理費を、ひたちなか市と茨城県が負担する。加えて、延伸事業を通じて利用者の利便性向上を図る内容となっている。

 国土交通大臣は、湊線の阿字ヶ浦~新駅2(国営ひたちなか海浜公園西口)間3.1kmの延伸計画に関連し、ひたちなか海浜鉄道が申請していた鉄道事業法第3条に基づく第一種鉄道事業許可を、2021年1月15日付で許可していた。当初の開業予定は2024年春だったが、計画はその後延期されている。

 今回の運輸局による「鉄道事業再構築実施計画」の認定は、延伸計画に正式な承認を与えた形だ。計画では延伸区間を第一工区と第二工区に分け、2036年度までの開業を目指す。また既存設備の維持・修繕に加え、キャッシュレス券売機の導入など、利便性向上に向けた取り組みも進める。

 事業費は2021年時点の78億円から148億円に膨らんだ。しかし、施設整備費などを自治体(茨城県とひたちなか市)が負担する「みなし上下分離方式」を導入することで、経営の安定化を図る。

 延伸区間のうち、第一工区の阿字ヶ浦駅~新駅1(国営ひたち海浜公園南口ゲート付近)間は、2024年11月18日付で工事施行認可を取得済みだ。第一工区の開業予定は2029年度で、事業費は59億円としている。

 延伸計画は過去に何度か延期されてきた。自治体の負担も大きく、課題は残る。それでもLRTを除けば、第三セクターを含むローカル線で久々の新線建設となる。業界内外で注目を集めている。

全てのコメントを見る