「駅前再開発」「整備新幹線」はもう不可能なのか?――予算2倍でも進まぬ工事、人手不足&資材高騰が直撃する鉄道事業の新たな危機
人手不足と資材高が建設現場を直撃している。建設労働者はピーク比3割減、躯体工事の求人倍率は8倍超。再開発や新幹線計画が相次ぎ見直され、建設会社が仕事を選ぶ時代が現実になりつつある。
整備新幹線の事業判断にも影響か?

整備新幹線も資材費や労務費の上昇と無縁でない。北海道新幹線の札幌延伸工事では、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が12月、建設費の見積額を3.5兆円に引き上げた。現計画より52%増、当初計画の2倍以上になる。トンネル内の岩塊撤去など難工事の影響もあるが、資材費や労務費の上昇が増額分のほぼ半分を占めた。
北陸新幹線大阪延伸では、2016(平成28)年に決定された小浜・京都ルート(福井県敦賀市~同県小浜市~京都市~京都府京田辺市~大阪市)の建設費を国交省が2024年、従来の2.1兆円から最大5.3兆円に増えると試算した。ルートは与党で見直しが始まったが、見直しを招いた原因のひとつが建設費の大幅増だ。
建設費が上がれば、事業の費用対効果を示す費用便益比が悪化する。費用便益比は1以上で投じた費用以上の効果が出ることになり、整備新幹線の着工条件に1以上と規定されている。小浜・京都ルートは2016年の試算で1.1だったが、石川県選出自民党国会議員の自主研究会が12月にまとめた中間報告では、0.55に下がった。
基本計画から整備計画への格上げを目指す路線にとっても頭が痛い。基本計画路線は、四国や山陰、東九州などが活発に活動しているが、いずれも沿線人口が少なく、費用便益比が障害になる。
四国新幹線を推進する香川県交通政策課は
「交流人口増加を進め、必要性を粘り強く訴えたい」
としているが、資材費や労務費の上昇が新幹線網の拡大を妨げる要因のひとつに浮上しつつある。人口減少の克服策は見えず、資材費高騰に歯止めを掛けるのも難題だ。整備新幹線や駅前の大型再開発がままならない未来が近づいているのだろうか。