路線バスはこのまま消滅するのか? 全国減便10%、2025年に露呈したインフラ崩壊の臨界点

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2025年、日本のバス業界は耐え忍ぶ段階から構造再編を迫られる年に突入した。労働時間規制で全国便の約10%が減便、都市部も影響を受ける一方、AIオンデマンドや完全キャッシュレス化で効率改善の兆しも見え、維持策と技術革新の両立が課題となる。

DXによる運行効率化

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 大手を中心に、バスドライバー確保を目的に賃金を約15%引き上げ、若年ドライバーの採用に成功する事例が出ている。行政が支援するケースも増えている。日本経済新聞は10月、「バス運転手確保、自治体の支援相次ぐ 免許取得助成や移住応援金」と報じた。

 IT投資による効果も現れ始めている。国土交通省総合政策局参事官(交通産業)室が令和7年4月に公表した「令和6年度完全キャッシュレスバス実証運行報告書」によると、主要バス事業者(保有台数30台以上)で完全キャッシュレス化を実現した効果は、ドライバーの平均給与約1900人分に相当すると試算されている。

 AIオンデマンドやダイヤ作成支援なども含め、DXによる運行効率化は路線バスの維持・充実に大きな効果をもたらす可能性もある。バス単体にとどまらず、物流・観光・医療送迎との複合化モデルも広がりつつある。貨客混載バスの増加や病院との連携など、地域協働も路線維持には欠かせない要素となる。

 2025年も路線バスの運賃改定が進んだ。改定内容は値上げである。路線バスはもはや「安くて誰でも使える移動」から、

「価値に応じた価格」

への意識転換が求められる。バリアフリー運賃や交通活性化に使える交通税の議論を始める自治体も現れた。

 公共物は、利用者みんなで支える仕組みを考える必要がある。これを真剣に検討する自治体が出てきたのは好ましい兆しである。地方自治体では都市計画や住宅政策への見直し圧力も強まる。ドライバー減少を見据えた連節バスや自動運転バスの本格導入検討も急務となっている。

 モビリティが福祉・医療・労働政策と不可分であることを可視化する必要がある。しかし公共交通を政策課題として掲げる首長は依然少ない。公共交通を政策議論の中心に据える2026年の到来が望まれる。

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