路線バスはこのまま消滅するのか? 全国減便10%、2025年に露呈したインフラ崩壊の臨界点
制度規制による運営阻害

労働時間規制の完全適用により、全国のバス便は2025年時点で全便数の約10%減が常態化している。なかには20%規模の減便を行う事業者もあり、地方だけでなく都市部の路線維持も困難になりつつある。2025年度には、都市部での路線維持問題がマスコミでも取り上げられる事例が出始めている。
12月19日、テレビ朝日は「バス王国」とされる吉祥寺で減便が相次ぎ、大行列が発生している状況を報じた。都内でのドライバー不足の背景に注目した内容である。
路線バスの専門家である筆者(西山敏樹、都市工学者)が全国の事業者にヒアリングしたところ、営業所のドライバー平均年齢は50~53歳と高齢化が進んでいる。65歳以上の高齢者をパートとして雇用する事例も増え、供給側の構造的限界が鮮明になっている。全国の路線バス事業者の9割以上が赤字で、
「走らせるほど損する」
という状態が常態化している。都市部での台数が多い事業者ほど、問題の拡大が懸念材料となる。背景には、補助金制度が依然として
「路線維持前提」
のままで、縮小や見直しを想定していなかったことがある。筆者はこれまで、公的な委員会やマスコミに対し、高速バスや貸切バスの利幅を活用して路線バスへの圧力を軽減する仕組みを提案してきた。
具体的には、高速バスや貸切バスに公的資金を投入して赤字を減らし、路線バス事業の運営を円滑にする補助の導入を求めてきたのである。しかし現状の行政は、従来型の赤字路線バスへの補助しか考えておらず、別の切り口からの財政支援の効果を2026年に検討する余地がある。
運賃規制や免許制度も、柔軟なダイヤ再編や価格調整を阻害している。自治体、事業者、国の役割分担が曖昧で、責任の所在が不明瞭になっている部分もある。担い手の多様化も重要で、岐阜県高山市のように住民協議会が運営する乗合自動車など、公営・私営とは異なる形態の支援も進んでいる。
こうした多様な担い手を認める方向性が、今後の路線維持策にとって欠かせないだろう。