「駅前タワマンはもういらない」 柏駅そごう跡地“86億円投入”が露呈させた、地方都市・駅前再開発制度の限界

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人口43万人超の首都圏ベッドタウン、柏駅東口が再生の局面を迎える。そごう柏店跡地の解体が進み、約5200平方メートルの駅前再開発計画が動き出す。複雑な地権構造や利害調整が課題となるなか、街の未来像は全国の関係者の注目を集める。

複雑な所有関係と再開発の課題

「既存のスカイプラザの場所を広場化し、施設を南北に集約した配置案」「南側への施設建築集約配置案」「賑わい施設囲い込み配置案」。「柏駅東口駅前再整備実現化方策検討業務報告書【概要版】」より(画像:柏市)
「既存のスカイプラザの場所を広場化し、施設を南北に集約した配置案」「南側への施設建築集約配置案」「賑わい施設囲い込み配置案」。「柏駅東口駅前再整備実現化方策検討業務報告書【概要版】」より(画像:柏市)

 柏駅東口の地権者は複雑な所有関係を持つため、街の人々が思い描く未来像も多様である。再開発には強いリーダーシップが不可欠である。筆者(宮田直太郎、フリーライター)が懸念するのは、市が開発を急ぎ過ぎるあまり、中途半端な建物ができるケースである。行政施設やオフィス、タワマン、商業施設などを同時に詰め込みすぎると、動線の悪い使いにくい建物になることが全国の再開発事例で見られる。

 また建設費を抑えるあまり、集客に必要な要素が削られることも懸念される。筆者は数百億円規模の施設を訪問した際、1階のドアが手動で入りにくかったり、エスカレーターが狭くひとり用だったりと、人の導線が軽視された例を確認している。これらの施設は首都圏の駅前にもかかわらず、空きテナントが目立っていた。

 柏駅東口の再開発でも同様の問題が起きないよう、半世紀前と同様に全国関係者を驚かせる大胆な計画を実現してほしいと考える。なお筆者の取材時間の都合で、紹介できる内容は限られている。柏駅周辺には西側も含め多くの再開発計画が存在しており、今後も取材を続けて伝えていく予定である。

●参考文献
加藤栄司、中村攻、宮崎 元夫(1987)「柏駅東口駅前再開発地区周辺地域における土地利用の変容過程に関する研究」造園雑誌 1987年51巻5号 p293~298

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