「300kmで十分だ」トヨタがタイで挑む執念の防衛戦――中国EVの猛攻に“聖域”ピックアップは耐えられるか?

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トヨタはタイで新型「ハイラックス」を世界初公開し、年末からBEV生産を開始。販売シェア約40%のピックアップ市場で、中国EV勢の攻勢を防ぐ決定的防波堤として戦略を打ち出す。

タイ成功が示すASEANソフトランディング

タイ(画像:写真AC)
タイ(画像:写真AC)

 トヨタがタイで進める戦略は、急進的なEVシフトによって在庫過多や価格競争に喘ぐ欧州や中国市場の混乱に対する、ひとつの明確な回答である。ハイラックスBEVの成否は、特定車種の売れ行きにとどまらず、新興国において持続可能な電動化がビジネスとして成立するかを占う重要な指標となるだろう。

 日本メーカーがASEANでの収益力を維持し、産業の空洞化を避けるためには、技術の優劣を競うだけの戦いに終始してはならない。タイはオーストラリアや南アフリカといった右ハンドル市場へ製品を供給する重要拠点であり、ここでの勝利は世界の右ハンドル経済圏を維持することを意味する。

 タイ政府との強固な連携を維持し、長年築き上げた販売・整備網という顧客との物理的な信頼関係を最大限に活かして利便性を提供し続ける。この執念深い防衛戦を勝ち抜くことこそが、日本メーカーの生き残りをかけた唯一の道といえる。

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