「日本人を優先すべき」「安い労働力が欲しいだけ」――そんな綺麗事が「路線バス」を壊す? 赤字73%&欠員2万人の現実が迫る、インフラ維持の最終選択

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全国で初めて外国人が路線バス運転席に立った。東京・沖縄で5人がデビューする一方、路線廃止は10年で約1万5900km、事業者の73%が赤字。人手不足の臨界点で、日本の公共交通は雇用と負担の再設計を迫られている。

事業者経営の歪み

外国人ドライバーの採用実態調査。2025年9月、物流・旅客事業の採用担当者・経営者321人を対象に実施(画像:レバレジーズ)
外国人ドライバーの採用実態調査。2025年9月、物流・旅客事業の採用担当者・経営者321人を対象に実施(画像:レバレジーズ)

 事業者は黒字路線で赤字路線を内部補填し、観光や貸切事業で得た収益を路線維持に回して延命を図ってきた。しかし、観光事業のような景気変動に左右されやすい収益源に、安定供給が義務付けられた路線バスの存続を委ねる経営構造は極めて脆弱である。

 人手不足を減便で調整し、無理な延命措置を続けることは、車両の更新やデジタル化への投資を遅延させることにつながる。帝国データバンクの調査では、2023年に減便や廃止を行った事業者のほぼ全てが「運転士不足」を理由に挙げた。こうした負債の先送りは、長期的にはサービス品質と安全性というバス事業の本質的な価値を、音を立てて毀損させていくことになる。

 現実には、早朝・深夜や観光ピーク時、あるいは過疎地など、日本人による労働供給が物理的に成立しない条件が各地で発生している。バス業界の平均年収は461万円(2024年)と、全産業平均を66万円も下回る。低賃金と「2024年問題」による労働規制の強化が拍車をかけ、就業者の平均年齢は55.3歳に達するなど、若い人材の確保は極めて困難だ。日本バス協会の試算によれば、運転士の不足数は2030年度には3万6000人にまで拡大するとみられている(『日本経済新聞』2025年7月19日付け)。

 物流・旅客事業のドライバー採用担当者・経営者321人を対象にしたレバレジーズの調査(2025年11月6日発表、調査は9月実施)によれば、ドライバー採用を行う企業の約4割がすでに外国人の「雇用経験がある」と回答しており、さらに約3割が今後の「増員予定」を掲げている。

 一方でコメント欄では、全国一律に日本人を雇うべきだという倫理的主張が繰り返されている。しかし、物流や建設など他産業との人材争奪戦は激化しており、特定の職種だけを優遇しても社会全体の欠員は解消されない。

 少子高齢化社会において、すべての路線に日本人のドライバーを配置し続けることは、他産業から希少な労働資源を不合理に奪う結果を招く。我々は、日本人による供給にこだわりインフラを消滅させるのか、外国人活用によって移動の手段を確保するのか、という最終的な選択を迫られている。

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