「EV失速論」は本当か? 中国依存68%のグローバル市場、北米急落が示す「市場の質」と政策依存の限界点とは

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2025年10月の世界EV販売は190万台に達し、累計1650万台で前年比23%増となった。中国市場が全体の68%を占め、欧州や北米も規制対応やインフラ整備で販売を支える。好調の裏に潜む政策依存と市場構造の偏りが、今後の焦点となる。

背景1:政策と価格戦略の相乗効果

中国はEVバブルの真っ只なかにある(画像:Shutterstock)
中国はEVバブルの真っ只なかにある(画像:Shutterstock)

 世界のEV市場を支える中心は、やはり中国だ。2025年10月の中国国内におけるEV/PHV販売は約130万台に達し、世界全体の販売の約68%を占めた。前年比では約6%増と安定した成長を続けており、依然として世界のEVシフトの中心であることを物語っている。

 背景には、現地メーカーによる価格戦略と政策による購入意欲の喚起がある。内燃機関車からEVへの買い替えを後押しする政府の補助金や購入税免除が、消費者の判断に大きく影響している。EVが国内で手頃な選択肢として認知されることで、消費者の需要が政策効果と連動し、市場を押し上げている構図だ。

 都市部では充電インフラやバッテリー交換サービスの整備も進んでおり、日常の移動にEVを選ぶ理由が増えている。メーカーも中国市場向けに多様なモデルを投入し、航続距離や性能、価格帯に応じた戦略を展開することで、販売をさらに下支えしている。

 ただし、この成長には政策への依存度が高い側面もある。補助金や税制優遇が縮小される年末から2026年にかけては、駆け込み需要の反動や成長鈍化の懸念が指摘されており、市場動向の慎重な観察が求められる。

背景2:CO2規制対応と年末商戦

CAFE規制では、車両ごとではなくメーカーごとのCO2排出量が計算される(画像:中嶋雄司)
CAFE規制では、車両ごとではなくメーカーごとのCO2排出量が計算される(画像:中嶋雄司)

 欧州市場も2025年10月は堅調だった。地域全体では前年比36%増となり、ドイツ、英国、スペイン、イタリアなどで大幅な伸びが報告されている。特にPHVの販売増が目立ち、BEVと合わせて消費者に多様な選択肢を提供する構造が浮かび上がる。

 この成長の背景には、まもなく厳格化されるCO2排出規制(CAFE規制)がある。多くの自動車メーカーは、2025年から施行される新基準をクリアするため、BEVやPHVの比率を高める必要に迫られている。そのため年末商戦に向けた押し込み販売が加速し、規制対応と消費者需要の拡大が相互に作用しているのだ。

 欧州では充電インフラや販売チャネルの拡充も進んでおり、都市部だけでなく地方でもEV購入のハードルが下がっている。サブスクリプションやリースサービスなどの新しい販売形態も広がり、消費者が柔軟にEVを選べる環境が整いつつある。

 一方、北米、特に米国では状況が異なる。9月末に約7500ドルの税額控除が終了した影響で、10月のEV販売は前月比で大幅に落ち込み、北米全体ではマイナスに転じた。政策や優遇措置が市場に与える影響の大きさを示す典型例であり、北米市場では今後の政策変化に注視が必要だ。

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