EV「駆け込み需要」で爆売れする? BYD・Teslaなどの販売減速が示す実態とは

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2025年10月の世界EV販売は178.3万台、前年同月比10.5%増と堅調を維持する一方、テスラの減少や中国メーカーの伸び鈍化が鮮明となった。2026年の税制縮小を前に、市場は駆け込みではなく地域ごとの小規模な振れにとどまる見通しだ。

中国市場の構造変化と購買力の停滞

 テスラの10月販売は前月比で10.1万台減となり、大幅な落ち込みを示した。米国での需要低迷が主因とされるが、影響は地域にとどまらない。米国では補助金の縮小と金利の高止まりが重なり、大型EVの新規需要が明確に鈍っている。テスラの値引き戦略も限界が見えつつあり、他地域のメーカーが価格競争でこの需要減を補えるほどの余力もない。米国の停滞が世界需要の伸びを抑え、年末の「駆け込み」を弱める可能性は高い。

 10月のデータは、中国市場の勢いが鈍っていることも示している。景気刺激策の効果が薄れ、家計所得の伸びが停滞し、購買力の下支えが働いていない。上海や深センをはじめ主要都市ではEV普及率が高い水準にあり、優遇措置が縮小しても購入を後押しする力は弱い。さらに、中国メーカーは輸出依存を強め、国内販売に頼らない収益モデルへ移行している。国内で台数を積むインセンティブが低下し、販売を押し上げる力が細っている。こうした構造変化が、補助金縮小による一時的需要増を相殺しやすい。

 補助金縮小は世界共通のルールではなく、国ごとに制度の中身が異なる。そのため、市場反応が大きく出る地域は限られる。北欧の一部では税負担の変化が家計に直結しやすいが、市場規模が小さく、世界全体では影響が極めて限定的だ。タイやインドのように国内産EVの普及と結びつけた内需刺激策が同時に展開される場合には、年末の販売増が数字として現れる可能性もある。ただし、これも地域限定の動きにすぎない。

 総じて、補助金縮小よりもメーカーの値付け、在庫調整、輸出の振る舞いのほうがグローバル市場に強く作用する。結果として、世界全体で大規模な駆け込み需要が形成される可能性は低いといえる。

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