タクシーの「自動ドア」なぜ主流に? インバウンドも驚いた安全&利便の半世紀とは

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日本のタクシーは、外国人の4割が利用し、駐停車中事故の約半数を防ぐ自動ドアで安全性と利便性を両立。1964年東京五輪を契機に進化した「おもてなし」が、都市・地域モビリティの信頼を支える。

タクシーの法的位置付け

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 加藤博和氏の論文「タクシーは日本で公共交通になれるか?~持続可能な地域社会を支える存在であり続けるために~」によると、2006(平成18)年12月施行の「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化促進に関する法律(バリアフリー新法)」で、一般乗用旅客自動車運送事業、すなわち一般のタクシーが公共交通のひとつとして位置付けられた。続く2007年10月施行の「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(地域交通法)」でも、タクシーは同様に公共交通として定義されている。

 この法的位置付けは、都市や地方における交通計画においてタクシーの役割を明確化し、高齢者や障がい者の移動手段としての重要性を社会に認知させる効果を持つ。地方では、バス路線や鉄道が十分でない地域でタクシーが公共交通の役割を担うことで、地域経済や生活圏の維持に貢献する。

 日本を訪れる外国人旅行者の利用も多く、内閣府規制改革推進室の2025年1月発表「移動実態等に関する調査結果(訪日外国人)」によれば、直近1年以内に日本を訪れた外国人に「旅行中の主な移動手段」を尋ねた結果、

・電車・地下鉄:80.0%
・バス:45.5%
・タクシー:41.0%

となった。4割以上の外国人がタクシーを利用しており、都市や観光地での短距離移動において重要な位置を占めている。また、同調査では59.5%が旅行中にタクシーを「利用した/利用しようとした」と回答しており、タクシーが観光やビジネスでの移動に欠かせない交通手段であることがうかがえる。

 さらに、外国人旅行者が初めて日本のタクシーに乗ると、ドライバーが操作する自動ドアに驚く声が多く聞かれる。海外では乗客自身がドアを開閉することが一般的なため、日本の自動ドアは安全面だけでなく、サービスの質の高さや利便性の象徴としても評価される。

 このような文化と制度の組み合わせにより、タクシーは日本における都市・地域モビリティの重要な構成要素として定着している。

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