タクシーの「自動ドア」なぜ主流に? インバウンドも驚いた安全&利便の半世紀とは

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日本のタクシーは、外国人の4割が利用し、駐停車中事故の約半数を防ぐ自動ドアで安全性と利便性を両立。1964年東京五輪を契機に進化した「おもてなし」が、都市・地域モビリティの信頼を支える。

駐停車中事故の実態

加藤博和氏の論文「タクシーは日本で公共交通になれるか?~持続可能な地域社会を支える存在であり続けるために~」(画像:国際交通安全学会)
加藤博和氏の論文「タクシーは日本で公共交通になれるか?~持続可能な地域社会を支える存在であり続けるために~」(画像:国際交通安全学会)

 タクシーで自動ドアが採用されているのは、

「狭い道などでの乗降時」

に後方のバイクや自転車、車との接触事故を防ぐ安全上の理由が最大の目的である。ドライバーが座ったままドアを操作できる仕組みは、乗客の安全確保に加え、都市交通における停車効率や交通流の維持にも寄与している。

 交通事故総合分析センター研究部の主任研究員、高橋昭夫氏の論文「駐停車中のドア開き事故」によれば、車は移動中の事故が注目されがちだが、止まっている車でも事故は発生する。2014(平成26)年には、駐停車中の四輪車が第1当事者となった事故が3803件あり、そのうちドアの開閉による事故は49%を占め、ほぼ半数に達していた。

 他の事故は追突が21%、出会い頭が3%、歩行者との接触が2%、車両相互事故などが25%である。ドア開き事故の割合が突出して高いことは、都市空間での駐停車リスクの大きさを示している。

 こうした状況を踏まえ、日本ではタクシーのドアをドライバーが操作する方式が広く採用され、安全性の向上と交通効率の両立を実現している。停車中でも安全を確保できることは、都市部におけるタクシーサービスの信頼性や利便性向上に直結しており、観光やビジネス利用時の選択理由にもなる。

 さらに、交通事故の抑制は社会的コストの低減や運行事業者の経済効率にもつながり、タクシー産業全体の持続可能性に貢献している。

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