東京・高円寺“破壊計画”にSNS騒然! 「再開発反対」「利益得るのは誰だ」――16m道路で街の個性は消えるのか?

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東京都と杉並区の再開発計画で、高円寺北口の純情商店街・庚申通りが幅員16mの道路で丸ごと消滅の危機。Xでは数千筆の署名が集まり、文化・土地価格・地域経済への影響が議論を呼んでいる。

文化価値と都市合理性

高円寺。2025年11月17日撮影(画像:Merkmal編集部)
高円寺。2025年11月17日撮影(画像:Merkmal編集部)

 今回の署名運動は、高円寺が抱えるふたつの根源的な葛藤を浮き彫りにした。

・都市機能を高めたい「行政の視点」
・街の独自性を守りたい「住民の視点」

だ。どちらかが絶対的に正しいわけではない。防災性や移動性の向上は確かに重要であり、住民の安心感や日常生活の安定にも直結する。一方で、独立系店舗や小規模文化施設が織りなす街の独自性は、一度失えば容易には戻らない貴重な文化資産である。

 都市計画の合理性と文化的価値は、単純な二項対立では整理できない。重要なのは、行政が住民と誠実に対話し、道路や再開発を含めた街の将来像を共に描くガバナンスである。純情商店街を守りたい住民の声も、南北交通や防災性を整備したい行政の論理も、それぞれ道理がある。その両者を調整し、街の安全性、利便性、文化的体験、日常生活の質といった複合的な価値を高める形で未来像をすり合わせる仕組みが、今求められている。

 結論をここで断定することはできない。ただひとついえるのは、都市は単に「便利さ」だけでは評価できないということだ。高円寺の将来をどうしたいのか――今回の署名運動は、住民だけでなく社会全体にこの問いを投げかけている。

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