自転車は本当に「車道」を走るべきなのか?――日本のルールは「子どもの命」を守れる? 大阪・中学生死亡事故に見る危険と制度の矛盾とは
ネットの声が示す現場感覚

事故報道をきっかけに、ネット上では「自転車を車道でどう位置づけるべきか」を巡る議論が広がった。共通しているのは、制度を整備するだけでは安全確保に結びつかないという認識である。
自転車は長らく「歩行者に近い移動手段」として扱われてきた経緯があり、交通量の多い車道で車両として振る舞うことに無理があるという指摘が絶えない。スマートフォン操作や無灯火といった危険行為への取り締まり強化には一定の賛同があるものの、ルール適用が先行すれば、かえって事故リスクを増やすという懸念が目立つ。
現行の「車道左端走行」を前提とした設計にも限界がある。後続車は追い越しのたびに右側へはみ出す必要があり、自転車側も路面状況を避けながらの蛇行が避けられない。専用レーン整備やヘルメット着用の徹底を求める声がある一方、大型車による接近運転やあおり行為への罰則強化を望む意見も多い。
路肩には側溝、段差、路上駐車といったリスクが連続し、空いている場合でも中央寄りを走らざるを得ない場面が生じる。踏切、駅前、狭小道路では「車道も歩道も安全に走れない」という状況が常態化しており、自転車専用道の整備が遅れる限り、法制度だけでは事故削減には直結しないという指摘は根強い。
雨天時のマンホールや排水設備によるスリップ、交通量の多さ、車線幅の不足など、日本の道路条件そのものが車道走行前提の設計に適さないとの意見もある。歩道走行の柔軟な容認、徐行義務の強化、ながら運転の禁止など、実態に合わせた「日本型ルール」への再設計を求める声も少なくない。
交差点設計にも課題が残る。左折巻き込みへの配慮が不十分なまま自転車レーンを延長した例があり、周知が追いつかず事故が生じている。大阪・堺筋や長堀通りのように、歩道の狭さ、路上駐車、観光バス、側溝が重なる道路では、自転車が中央に膨らむしかなく、レーンが存在しても安全とは言いがたい。大型車の死角による巻き込みリスクも依然として大きい。
一方で、自転車側の信号無視や逆走といった問題も指摘されており、利用者側の遵法意識向上も不可欠とされる。
総じて指摘されているのは、車道走行を前提とする制度を先に動かしても、現場の道路設計が追いつかなければ、路上駐車の回避や急な進路変更といった「新たな事故誘発要因」が生まれかねないという点だ。求められているのはルールの明確化ではなく、専用レーン整備や大型車の通行制限といった「実装された安全設計」であり、議論は制度と道路環境のギャップを浮かび上がらせている。