名神高速60年「老朽化をチャンスに変える時」――累計32兆円の経済効果を次世代に再創造できるか?
名神高速道路は1963年の初区間開通から62年、全線開通60年を迎え、総距離189.3kmで1日平均約25万台、累計47億台が利用した。沿道6府県の工業団地の約半数が名神沿線に集中し、累計約32兆円の経済波及効果を生み出してきた。物流、観光、災害対応と幅広く地域社会を支える一方、老朽化や維持費増加といった課題も顕在化。次の60年に向け、ネットワーク整備や最新技術の導入が運営の焦点となる。
渋滞緩和と代替ルートの機能

近年、日本の高速道路ネットワークの発展は名神にも大きな影響を与えている。特に新名神の開通は、名神の交通負担を軽減するだけでなく、新たな効果も生んでいる。
新名神は2005(平成17)年3月、当初は名神の支線として滋賀県の草津ジャンクション(JCT)~草津田上ICで初区間が開通した。2008年2月には三重県の亀山JCT~草津田上ICが開通し、東名阪自動車道と名神がつながった。これにより首都圏~中京圏~関西圏の移動は、新東名~伊勢湾岸道~新名神という新たな主要ルートが誕生した。
さらに、名神の阪神地域でも2018年3月に新名神の大阪府の高槻JCT~兵庫県の神戸JCTが開通し、交通量の多い名神~中国自動車道と並走するルートとして機能し始めた。
名神・新名神のダブルネットワーク化は一定の効果を生んでいる。名神の交通集中による渋滞は、ピーク時で約20~30%緩和された。さらに、冬季の積雪による通行規制時には、双方が代替ルートとして活用されている。
ただし、新名神の開通により管理費や維持費の負担も発生している。山岳地帯を通る区間が多く、トンネルなど維持費のかかる設備も多い。そのため、費用対効果をどう評価するかは重要な課題だ。
物流業の視点では、名神の東海~近畿が輸送全体の約4割を占める現状がある。今後は広域なネットワークを意識した輸送戦略が求められる。名神単体ではなく、日本の高速道路全体のネットワークを活かす事業設計が必要だ。
新路線沿道では開通による経済効果も大きい。名神開通当初は移動効率の向上が主目的だったが、これからは経済効果の最大化が重要な役割となる。名神も開通当初の役割から転換を迫られる時期にある。