横浜市営バス「給与引き下げ」は正しかったのか?――「平均780万円」は高すぎ? 公営交通バッシングの代償を考える
路線バス業界で深刻化する「2024年問題」。千葉では1日50便減便、全国的なドライバー不足も背景に、横浜・大阪の公営給与引き下げが長期的な人材流出を招いた現状が明らかになった。
路線維持と合意形成

公営給与低下の連鎖を防ぐには、行政と市民の協力や合意形成が欠かせない。適切な情報開示で、人員確保や路線維持が困難であることを示し、運賃や便数に関する合意を形成する必要がある。
公営企業は
「『給料高すぎ』の批判」
に屈するのではなく、路線維持と安全運行を前提とした建設的な議論を展開すべきだ。批判を、
「公営だからこそ業界全体の給与水準向上をけん引する」
と宣言する形に変え、社会の理解を得る必要がある。
将来的には、自動運転や運行効率化技術の導入も視野に入れながら、現役ドライバーの給与水準を底上げする施策も必要である。そのけん引役を公営企業に期待したい。
総括すると、2011~2012年の給与引き下げは
「短期的な財政圧縮」
には寄与した。しかし長期的視点では慎重な政策判断が求められた。2024年問題を予見できていれば、別の展開もあり得たはずだ。現状では応募者増や路線維持の動きは出ているが、再発防止には
・運賃
・補助金
・雇用条件
の包括的見直しが必要である。
今後も、公営バスを社会インフラとして維持するためには、建設的な議論と具体策の実行が不可欠であり、その動向を注視する必要がある。