横浜市営バス「給与引き下げ」は正しかったのか?――「平均780万円」は高すぎ? 公営交通バッシングの代償を考える

キーワード :
, ,
路線バス業界で深刻化する「2024年問題」。千葉では1日50便減便、全国的なドライバー不足も背景に、横浜・大阪の公営給与引き下げが長期的な人材流出を招いた現状が明らかになった。

公営バス給与格差の影響

横浜市営バス(画像:写真AC)
横浜市営バス(画像:写真AC)

 民間バス事業者との給与格差縮小は、同一職種での賃金格差を放置しない労働経済の観点から当然の動きだ。不公平感を高めるだけでなく、給与水準の高い事業者に労働力が集中し、社会全体の公的サービスの均一性を損なう可能性もある。公営バスは

「サービスの維持責任」

があり、便数や零細路線の維持でドライバーの負荷が高くなる場合もある。

 そのため、公営から民間への人材流出が見られるが、民間事業者は公営企業の給与水準を常に意識している。2025年2月9日の産経新聞によると、横浜市の路線バスドライバーの待遇改善に合わせ、同エリアの民間バス事業者も動向を注視している。公務員の給与は民間企業にとって比較参考値になるのだ。

 横浜市と同時期の2012年2月27日、日本経済新聞は大阪市交通局が市バスドライバーの平均年収約739万円を、同年4月から38%減の

「約460万円」

に引き下げる案を検討していると報じた。その後の労使交渉を経て、大阪シティバスとして実施され、平均給与は手当等を含め450万円~500万円程度となった。年収上限も600万円台後半から700万円台と推定される。隣接する京都市交通局でも、路線バスドライバーの平均年収は500万円台前半にとどまる。

 横浜、大阪、京都など公営バス事業者は、厳しい経営状況のなかで給与水準が高すぎることは適切でないとの判断を示している。当時の橋下徹市長もマスコミに同様の見解を示した。結果として、

・基本給:300万円
・残業代:80万円
・賞与:100万円
・その他手当:20万円程度

で、年収合計500万円の路線バスドライバーの平均例が、全国の公営・民間問わず広がった。

 長期的には、コロナ禍の影響で応募者減と大量退職が発生し、2020年代の路線減便や廃止の一因となった。全国的には、インターネット通販など物流需要の増加もあり、現在の

・路線バスドライバーの平均年収:461万円
・トラックドライバーの平均年収:492万円

である。月換算で約2.5万円、年30万円の差があり、路線バスから給与の高いトラックや観光バスへの流出が顕著になっている。

全てのコメントを見る