なぜ自動車部品メーカーは「医療」「農業」に挑むのか? EV時代に失う技術を生かす“意外な仕事”とは
電動化や自動運転、カーシェアリングが進むCASEの影響で、自動車部品点数は減少。帝国データバンク調査では大手2500社の4割が対応未着手で、新規事業や異業種参入が企業価値向上のカギとなっている。
CASE時代の部品再編

昨今、世界の自動車産業では「CASE」が注目されている。電動化の急速な進展により、自動車の部品点数は大幅に減少し、構造はより単純化する見込みだ。
CASEは、Connected(自動車とビッグデータやインターネット、社会コミュニティの連携)、Autonomous(自律走行)、Shared & Services(カーシェアリングを含む多様なニーズへの対応)、Electric(自動車の電動化)の頭文字からなる造語である。それぞれが深く連動し、自動車産業の構造変化を牽引している。
こうした状況を受け、多くの自動車部品メーカーは既存部品の需要喪失を懸念し、新規事業に乗り出している。参入先は多岐にわたり、農業や水産業、医療など、自動車以外の分野に挑む企業も少なくない。
帝国データバンクの調査によれば、大手トヨタでは自動車部品メーカーよりもソフトウェア開発メーカーの下請けが増加傾向にある。自動車業界ではソフトウェア開発に多くの資源を投じており、トヨタの影響力はさらに強まると考えられる。これは、GoogleやWindows、Amazonなどが他業界で大きな影響力を持つ構図に近い。
部品点数の減少が進むと、残る必須部品の市場は活性化・高度化する見込みだ。商品の機能や品質の差が縮小し、自動車メーカーは市場価格や量を重視して商品を選ぶことになる。
こうした背景から、自動車のモデルチェンジのスパンはスマートフォンやPCのように短くなると見込まれている。その結果、部品メーカーは利益を確保しにくくなり、新技術開発に必要なコストや機会を失う懸念がある。