なぜ自動車部品メーカーは「医療」「農業」に挑むのか? EV時代に失う技術を生かす“意外な仕事”とは
部品メーカーの異業種挑戦

自動車部品メーカーは多様な業界に新規事業を展開している。
自動車のトランスミッション製造で知られるジヤトコは、E-バイク用ユニットの開発を進めている。このユニットは自転車用モーターと変速機を一体化したドライブ装置であり、自転車メーカーのホダカと共同し、同ユニットを搭載したE-バイクの実用化を目指している。
ミネベアミツミもE-バイク向け製品の開発に乗り出している。同社の商品はモーター、ベアリング、踏力センサー、コントロールユニットを一体化したパワーユニットである。ペダルの踏力をセンサーで検知し、それに応じてモーターがスムーズな走行をサポートする。担当者は将来的に自転車以外の小型モビリティへの応用も視野に入れていると明かした。
一方、自動車エンジン向けのタイミングチェーンシステムで高いシェアを持つ椿本チエインは、2014(平成26)年から農業関連事業に参入している。この事業では植物工場向けの自動化装置を開発・販売している。さらに2025年8月現在、福井県美浜町に人工光型植物工場を建設中であり、同工場ではレタス類の栽培を予定している。
主要なカーメーカーに製品を供給するデンソーは、自動車領域で培った施設設備の環境制御や自動化システムの技術をフードバリューチェーンに応用することを目指している。2020年にはオランダの施設園芸事業者、セルトングループの全株式を取得し、施設園芸事業をスタートさせた。
ベアリングメーカーのNTNは、2018年に自然エネルギー事業に参入している。この事業では、風車や太陽光パネル、蓄電池をコンテナ内に収めた移動型独立電源「N3 エヌキューブ」を自治体に販売している。必要な地域にトラックなどで運搬可能で、発電・給電システムとしての利用のほか、内装をカスタマイズしてエコトイレや防災倉庫として活用することも可能だ。公共入札を経て、導入は全国の自治体に広がっている。
車載用スイッチやカギを開発・製造する東海理化は、eスポーツ向けゲーミングギアブランドを展開している。長年のノウハウを活かし、製品開発を進め、2023年5月にはeスポーツプロチーム監修のロープロファイルキーボードの販売を開始した。
さらに、F1やスーパーフォーミュラ、スーパーGTなどのレーシングカー部品を加工するタマチ工業は、内視鏡や血栓血管内治療器など医療機器の開発にも取り組んでいる。