「救急搬送」の遅れが命を奪う――事故率0.01%も「到着遅れ」が示す制度的課題、愛知県男性死亡から考える

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愛知県春日井市での救急車とトラック接触事故は、搬送遅延により77歳男性が死亡する事態に発展した。2024年度には救急搬送の63%が高齢者で、出動は約4.1秒に1回のペースに達しており、官民連携によるAI・交通インフラ活用の再発防止策が急務である。

ドライバー支援普及遅れ

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 2024年度の日本全国の交通事故件数は29万895件であり、愛知県は2万4506件と全国で3番目に多い。特にトラックは、高速道路での追突や一般道の左右折時に重大事故につながりやすい。全日本トラック協会の統計によれば、2024年に事業用トラックが第一当事者となった死亡事故は約200件に上った。

 昨今、ドライバーの多くはナビゲーションサービスやアプリを活用している。しかし、案内されるルートが酷道や険道、狭小道になるケースが目立つ。これにより、トラックと他車両の接触リスクが高まることが懸念される。

 マイボイスコムの調査では、安全運転や事故防止支援システムを搭載しているドライバーは全体の

「約50%」

にとどまり、普及は十分とはいえない。加えて、物流領域ではドライバー不足が深刻で、睡眠不足を訴える人も多い。このため、事故を未然に防ぐには、トラックへの運行支援システムの導入が不可欠である。

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