牙を剥く中国車! 揺れる欧州EV市場──「トヨタ」「日産」が直面する生存戦略と世界覇権の行方とは
欧州市場は中国EV勢の急拡大で構図が逆転している。2025年7月には販売台数が前年のほぼ倍となる6万台に達した。追加関税30%以上でも抑えきれず、欧州メーカーは過剰投資と高コスト構造に苦しむ。次の10年、世界EV覇権を握る勢力はここで決まる。
中国EV 欧州市場制圧

2025年9月9日から14日まで、ドイツ・ミュンヘンで国際自動車ショー(IAA2025)が開幕した。注目を集めたのは、中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)などの中国勢だ。
2025年7月の欧州新車販売で、中国車は約6万台に達した。前年同月比ではほぼ倍増である。中国製EVに危機感を募らせる欧州連合(EU)は、2024年10月に従来の10%に加え、最大35.3%の追加関税を課した。しかし抑止効果は限定的にとどまった。
欧州メーカーは1980年代から中国企業と合弁会社を設立し、中国市場を席巻してきた。2010年代には、ドイツ車の中国市場シェアは25%に達し、グローバル成長の原動力となった。ところが現在、欧州市場では逆の現象が進んでいる。中国車の欧州市場進出が加速しているのだ。