なぜホンダは「就職ランキング」でトヨタに完勝したのか?――安定より学生が選んだ「意外な魅力」とは
文化放送の調査で、2026年卒学生の就職ブランドランキングでホンダが自動車業界首位に立った。1万4017人、総得票4万票超のデータが示すのは、挑戦・裁量・成長機会を重視する若者の価値観変化と、技研DNAが生きる企業戦略の強さである。
自動車業界の人気変動

文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所は、2026年卒業予定の学生を対象にした「就職活動後半 就職ブランドランキング調査」の結果を9月8日に発表した。本調査は過去10年以上、年3回にわたり学生を対象に企業ブランドの評価を集めている。今回の調査では、ホンダが「自動車・機械・電気機器業界」で首位に立った。
調査は2025年3月16日から6月30日にかけて実施され、対象は2026年春入社を希望する「ブンナビ」会員(現大学4年生、大学院2年生)である。ウェブアンケートのほか、就職イベント会場やオンラインイベントでもアプリ形式で回答を収集した。ひとりにつき最大5票を投票可能で、志望企業を1位から5位まで選択する方式を採用した。有効回答数は1万4017人で、総得票数は4万0099票に達した。
総合ランキングでは伊藤忠商事がトップだったが、前述のとおり、自動車・機械・電気機器業界ではホンダが1位(総合10位)、ソニーが2位、パナソニックグループが3位、トヨタは4位となった。そのほか上位10社にはコマツやセイコーエプソン、日立製作所、富士通、クボタ、ダイキン工業が並ぶ。
自動車最大手のトヨタがホンダに後れを取った背景は何か――。単なる人気投票の結果ではなく、産業構造の変化や若年層の価値観の変容が反映された指標とみることができる。本稿ではホンダの勝因を構造的に分析し、企業戦略や社会的文脈を検証する。