「黒字リストラ」は自動車業界にも波及する? パナソニックHD1万人削減、世代交代・人材戦略の分岐点とは
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日本の製造業で黒字決算下にも関わらず人員削減が相次ぐ。三菱電機やパナソニックは1万人規模の早期退職を実施し、高齢層の厚み是正に動く。自動車産業もCASE対応でスキル需要が急変するなか、次世代への人材移行が競争力を左右する分水嶺となる。
好業績でも進む黒字削減

日本の製造業で「黒字リストラ」が相次いでいる。黒字決算であっても、人員削減を進める矛盾した決断が常態化しつつある。
黒字リストラとは、企業が利益を上げている状態でも、人員削減などを通じて固定費を圧縮し、将来の競争力や収益体質の改善を目指す戦略を指す。好業績にもかかわらず行うため、従業員や市場からは違和感を持たれやすい。
2025年9月8日、三菱電機は「ネクストステージ支援制度特別措置」として早期希望退職者を募集すると発表した。2025年3月期の決算は売上高、営業利益ともに過去最高だった。しかし、高年齢層に偏る人員構成を是正する目的で、希望退職を活用する。
パナソニックホールディングスも同様だ。黒字決算にもかかわらず、国内外のグループ従業員の約5%にあたる1万人規模の人員を削減し、構造改革を進めている。
足元の業績に左右されず、人員体制の見直しに踏み切る企業は増加している。事業環境の先行きが不透明ななか、構造改革の手段として固定費削減に直結する人員削減が広がっている。