「EV100%は非現実的」フォルクスワーゲンCEOが断言──EUエンジン車禁止見直し前倒しに、日本メーカーは活路開けるか
欧州自動車市場はEV販売が前年同期比24%減と失速し、BYDなど中国勢が攻勢を強める。IAA2025ではEUの2035年エンジン車禁止見直しと「Eカー構想」が浮上。雇用数百万人を抱える産業の命運を左右する決断が迫られている。
欧州Eカー市場で拓く日本技術力

日本メーカーにとって、EUによるエンジン車販売禁止の先延ばしは、ハイブリッド技術を
「移行期の妥協解」
として再評価する余地を生む。燃費性能の高いハイブリッド車(HV)は、現実的な解としての存在感を増すだろう。
さらに、日本メーカーが軽規格や小型車開発のノウハウを活かせば、欧州のEカー市場へ技術ごと、あるいは製品として輸出する道も開ける。競争軸はまず中国勢との価格競争であり、現地生産まで進める攻勢に対抗できるかが勝敗の分かれ目となる。また、欧州規制に適合した車両設計を短期間で完了できるかも成否を左右する要素だ。
自動車産業は百年に一度の変革期を迎えている。EVシフトに依存した一本槍では、産業基盤の崩壊リスクが高まる。仮に欧州にEカーが導入されれば、雇用は維持され、手頃な価格で購入できるようになる。さらに多様なパワートレインの選択肢も広がる可能性がある。日本メーカーにとっては
「HV + 軽自動車の輸出」
という二正面戦略が現実的な選択肢となり、さらなる成長が期待できる。一方、政策面では技術中立性を担保しつつ、市場競争を促す制度設計が不可欠だ。補助金や税制優遇の振り分けや、インフラ整備の支援が次の焦点となる。